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2017年5月19日 (金)

東京都美術館『ブリューゲル「バベルの塔」展』&国立西洋美術館『シャセリオー展』

今日は上野で二つの展覧会を観てきました。

中学生の時に西洋美術館で観たオランダ風景画に魅了されて以来、フランドルの風景画や風俗画が大好きです。
異常にリアルな静物画や異常に細かい風景画など、病的なまでにディテールにこだわった筆致に惹かれます。
イギリス留学中は、イギリス、フランス、ベルギー、オランダの美術館でいくらでも観られて楽しかったのですが、時代が古く作品数が限られており保存も難しいため、なかなか日本に名品が来ることはありません。
そんな中で「バベルの塔」が来る、やっぱり行こうかな、でも上野の展覧会は混むから、、、などと迷っていたらBS日本『ぶらぶら美術館』で紹介してしまいました。
この番組とNHK『日曜美術館』で取り上げると一気に混雑に拍車がかかるので絶望的だと思ったのですが、番組を観ていたら「やっぱり行きたい!」となり、意を決して行ってきました。

平日の午前中のためか心配していたほどの混雑はなく、「バベルの塔」以外の作品は見学者がほぼ1列、「バベルの塔」も3-4列くらいで殺気立つこともなく見られました。
ただ私が見終った2時ごろにはずいぶん人も多くなってきたので、やはり午前中か閉館間際がいいように思います。

同時代の多くの作品が展示されており、とても見応えのある展覧会で3時間くらいかかりました。
現存作品が少なくてヨーロッパにいてもなかなか見られないボスの作品が2点見られたのもとても貴重でした。
ボスの絵に出てくる変な妖怪(?)が面白いのですが、今見るとどうしても「進撃の巨人」を連想します。
「進撃の巨人」は中世ヨーロッパ的なディテールが満載なので、ボスの影響も受けているのだと思いますが、現代アーティストが描いたCG画像だと言われたら信じてしまいそうなキャラがたくさんいて、そんなのを探すのが楽しかったです。

出不精なのでせっかく外出するなら六本木のミュシャをハシゴしようと思っていたのですが、ブリューゲル展が見応えがありすぎて疲労困憊してしまったので、お昼休憩後に近くの西洋美術館のシャセリオー展を見ることにしました。

フランドル絵画は大好きですが、他に好きなのが18世紀半ばから19世紀のフランスの新古典主義です。
代表的な画家であるダヴィッド(ナポレオンの絵が有名です)とアングル(オダリスクなど)が特に好きです。
新古典主義はロココのカウンターとして出てきたと言われますが、確かにテーマはロココの軽薄さと新古典主義のアカデミックは正反対ですが、どちらも表現の美しさという点でとても好きです。

シャセリオーは、おそらくルーブルやオルセーで作品を見てはいたと思うのですが、あまり印象には残っていませんでした。
大好きなアングルの弟子ということで、きっと気に入るだろうと思い興味があったのでよい機会となりました。
若いころのアングルに傾倒していた時代こそまさにアングルの継承者という感じですが、後半は次の世代の象徴主義につながるものがあるという解説に納得しました。
ロココから新古典主義もそうですが、まったく180度の転換というよりは少しずつ変わっていく、それは時代の変化や一人の天才によってなど要因は様々ですが、過渡期というのがあるのなのだなあと感じました。

時間があったので西洋美術館の常設展示をとても久しぶりに見ましたが、改めて実に充実していることに驚きました。
数は多くないものの、重要な時代や画家がかなりの範囲で網羅されていて、これを入場料大人350円で観られるというのは贅沢なことだと思いました。
最近の美術館・博物館は写真撮影を許可するようになったと聞いていましたが、西洋美術館の常設展示も一部を除いて撮影してもよいようでした。
海外では結構撮影OKのところがありますが、フラッシュさえ使用しなければ作品にダメージはありませんし、むしろSNSに出してもらった方が宣伝になってメリットが大きいということなのでしょうか。

帰りにロダンの彫刻に夕日が当たっていて、かっこよかったです。


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2017年1月23日 (月)

『DAVID BOWIE is』 @寺田倉庫

先週20日(金)、天王洲で開催されているデヴィッド・ボウイの回顧展『DAVID BOWIE is』に行きました。
ジブリ美術館のように、日時指定された前売り券を購入するシステムです。
10-12時のチケットを持って11時前に入場したところ、始まったばかりの平日のためか人もまばらでとてもゆっくりと見ることができました。
一度入場すれば何時間でも滞在できるため、早い時間のチケットを購入するのがお勧めです。
展示物がたくさんあって、映像や直筆の歌詞、デザイン画などをじっくりと見ていたら、全部見終わったときには3時半を過ぎていました。それくらい見応えがあります。

感激したのが、70年代のビデオやステージ衣装、直筆の作詞したときのノートなどの実物が見られたことです。
まさか「Life on Mars?」のビデオのブルーのスーツや、ジギー・スターダストのアルバムジャケットの衣装の実物が現存しているなんて考えてもみなかったので、本物を目の当たりにして興奮してしまいました。
人手に渡ったものも少しずつ買い戻したりして収集していたそうです。

アーティストの衣装や楽器などはしばしばチャリティ・オークションに出品されて高値で売買されます。
それはそれでとても尊い行為ですばらしいと思う反面、ファンが目にすることができなくなるのも寂しいと感じることもあったので、このように本人や関係者が収集し、一括管理して時々一般公開するというのはファンにとってはとてもありがたいと思います。
先日テレビで、ボブ・ディランに関するものをアメリカの大学で管理している様子を見ました。
これもいずれ一般公開してくれたらうれしいなと思います。

V&A監修のため、展示がすごくかっこいいです。このセンスはイギリスならではだと思います。
ただ一つ不満だったのは、展示物に付いているキャプションが英語のみで日本語訳がなかったことです。
すべてのキャプションに「-ion」というその展示のテーマとなる英単語が添えられていますが、その言葉とキャプションが英語表記のみだったので、英語が理解できないと楽しめないのです。
一つの英単語に様々な意味を含ませていたりするので日本語訳も難しいとは思いますが、そこがキュレーターの腕の見せ所ではとも思います。

デヴィッド・ボウイが亡くなって、テレビで過去の映像が流れました。
ビデオはスペース・オディティ、ヒーローズ、レッツ・ダンスばかりでした。
たぶん権利関係で放映できるのがそれくらいだったのだと思うのですが、この3曲だけでデヴィッド・ボウイの魅力を伝えるのは難しいです。
興味を持たれた方はLife on Mars?、Ashes to Ashes、Look back in Anger、The Jean Genie などなど、他の曲のビデオをぜひ見ていただきたいです。
いつも「こんな美しい世界がこの世にあるのか」と思います。
ミュージシャンをアーティストと呼びますが、この人ほど本当にアーティストと呼ばれることがふさわしい人もいない唯一無二の存在で、残念ながら70年代をリアルタイムで体験できなかったのは悔やまれますが、同時代を生きられたことは幸せだと思いました。

2015年5月 3日 (日)

ミッフィー展@松屋銀座

松屋銀座で10日まで開催されている『ミッフィー展』に行ってきました。
今年はミッフィーが誕生して60周年だそうです。
私は30日夕方に行きましたが、意外と空いていて、ゆっくりと見られました。

私の世代だと、物心ついたときから親しんでいる「うさこちゃん」という呼び名の方がしっくりきます。
その頃のうさこちゃんは顔が横長でしたが、気がついたらまん丸のキュートな顔になっていて、呼び名も「ミッフィー」になっていました。
なんだかおしゃれな世界に行ってしまったようで複雑な気持ちがしましたが、今回の展覧会でずいぶん早い時期から顔は丸くなっていたことを知りました。
丸顔の方が幼げで圧倒的にかわいいのですが、初期の横長の顔のうさこちゃんもちょっとぼんやりした感じでとてもかわいいと改めて思いました。

ブルーナさんは初期はいかにも20世紀半ばという感じのスタイリッシュな絵なのが、8年くらいで急激に現在のスタイルを確立します。
その間の変遷が見られなかったので、この期間にいったい何があったのか知りたくなりました。

ブルーナさんにはミッフィーのシリーズ以外にも『ちいさなさかな』や子犬のくんくんなどいろいろな絵本があり、近所に住んでいたいとこの家や児童館の図書室でそれらを読むのが大好きでした。
今回の展覧会はうさこちゃんがメインで、他の絵本の資料はほとんどありませんでしたが、絵本が置いてあったので、しばらくあれこれと手に取って楽しみました。

松屋の展覧会はグッズ売り場が展覧会場よりも広いくらいのスペースで用意されています。
すでに売り切れになっている商品もありました。
いろいろかわいくて欲しいものもあったのですが、捨てられない性分を治せない代わりに買わない生活をしているので、断腸の思いで売り場を後にしました。

こちらは写真撮影が許可されている人形のディスプレイです。

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動物が動物園に行くというのも何となく不思議な世界です。
遊園地の乗り物で、ちゃんとヘルメットをかぶっているあたりが外国ぽいなと思いました。


2015年4月14日 (火)

『ルオーとフォーヴの陶磁器展』@パナソニック汐留ミュージアム

先週金曜日、上記展覧会の内覧会のご招待をいただき汐留ミュージアムに行ってきました。

ジョルジュ・ルオーは19世紀末から20世紀初頭のフランスの画家ですが、10代でまずステンドグラス職人として美術・工芸の世界に入りました。ルオーの作品には黒く太い線で輪郭を描いているものがあり、まるでステンドグラスの下絵のようです。汐留ミュージアムにはルオーの作品のコレクション専用ギャラリーがあり、ショップとの間の明かり取りの窓にはフュージング技法を用いたすっきりとおしゃれなステンドグラスがはめ込まれています。

フォーヴ(フォヴィスム)は「野獣派」とも呼ばれる絵画の一派です。野獣などというと、荒々しくて残虐な絵?という気がしますが、当時の人にはワイルドに見えたということで、現代の私たちが見ると、タッチは荒いものの色遣いやモチーフなどは明るく大らかなものが多いです。マティスやデュフィもフォヴィズムに分類されます。デュフィの絵画は美しい色彩で大好きです。

今回はフォヴィスムの画家たちが絵を描いた陶磁器の展示会です。日本初ということですが、海外でもあまりない珍しい企画だと思います。実際、個人コレクションなどが多く、貸し出し許可を得るのに苦労した作品もあるそうです。大震災から4年しか経ていない東京への貸し出しとなると、心配するコレクターの気持ちも理解できます。

陶磁器自体はアンドレ・メテというフランスの陶芸家が制作したもので、展覧会では前半でメテのオリジナルの陶磁器が展示されています。
正直なところメテの作品は、陶磁器は単に好きなだけで技法などには詳しくない私にはあまりアピールするところがありませんでした。みっちりと彩色するのなら達者な筆遣いでやってほしいし、大胆な筆遣いならもう少しシンプルにしてほしいなと。完全な好みですが。

一方でルオーやマティスなどのフォヴィスムの画家たちが描いた陶磁器は、大胆な筆致でシンプルに好き勝手に描いている感じがよかったです。画家の個性が陶磁器の絵付けという媒体とうまく合っています。ウイリアム・モリスのデザインがタペストリーや壁紙に合うように(元々そのためのデザインですが)、フォーヴの画家のデザインはお皿や花瓶によく合います。画商が勧めたそうですが、その審美眼のおかげでこの幸福な出会いが生まれたと思うと、芸術家の周囲には有能なプロデューサーが必要だと改めて思いました。

美術の流れの中でも貴重な一コマが見られますので、ご興味のある方はぜひ行ってみてください。

2015年4月 2日 (木)

「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」展@東京都庭園美術館

月曜日に、目黒の庭園美術館に行きました。
長いこと修理のために閉館していましたが、リニューアルオープンしたのです。
今週末までは表記の企画展が開催されています。

本館前は桜が咲いています。

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入口を背にして撮影してみました。

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本数は少ないですが、満開の桜が他の木々と調和をなしています。

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目黒川の桜も満開を迎えたので混雑しているかと思いましたが、月曜日のためか比較的空いていてゆっくりと見学できました。
アールデコの工芸品は、すでに見たようなものばかりでそれほど新鮮さもなかったのですが、新たにできたギャラリーに展示されていた絵画は初めて意識する画家が多くて興味深かったです。

庭園美術館は建物自体がアールデコの貴重な文化財なので、館内を歩いているだけで目の保養になります。
かつてはここで生活を営んでいた人々がいたかと思うとため息が出ます。
現在も資産家といわれる人たちはたくさんいますし、よく芸能人の豪邸をテレビで観ますが、死後にこのように文化的価値が残るような建築や内装をデザインしている人はどれくらいいるのだろうと思います。
庭園美術館のような豪邸でなくても、建築家や作家のこぢんまりとした住まいでも趣のあって移築されたり資料館になっているところがありますが、そんな後世の人にも恩恵を与えてくれるようなものを、お金持ちの人には残してほしいなあと思います。

2015年1月17日 (土)

パスキン展@汐留パナソニックミュージアム

今日から汐留のパナソニックミュージアムで「パスキン展」が始まりましたが、
昨日はその内覧会のご招待をいただいて行ってきました。
ジュール・パスキンはエコール・ド・パリといわれる20世紀初めのころにパリで活躍した外国人画家の一人です。
エコール・ド・パリにはモディリアーニや藤田嗣治、シャガールなど日本でも人気の画家が多いですし、
私もパリは2回訪れてあらゆる美術館やギャラリーに行ったのでパスキンの絵は見たことがあるのでしょうが、
意識して鑑賞したのは今回が初めてでした。

元々後期印象派以降の絵画にあまり興味がなく、
ルーブルでもオルセーでもゴーギャンあたりが出てくると終わった感じがして
あまり熱心に鑑賞していなかったので見逃してしまっていたのかもしれません。

初期から晩年まで、パスキンの絵画の変遷がよくわかる良い企画展です。
全盛期の1920年代の絵は、「真珠母色」といわれる淡い色合いの微妙な変化が美しい作品で、
それが部屋のすべての壁に掛かっていると、その世界観で部屋の空気も変わるようです。

ひとことで言うと「“ザ”・エコール・ド・パリ」という感じです。
絵を見ているだけでパリの空気感がはっきりと伝わってきて、パリにいるような錯覚さえします。

2度のパリ旅行ではいずれもモンマルトルのラパン・アジルに近いプチホテルに泊まり、
サクレ・クールという白亜の教会のある丘まで散歩に行きました。
丘から初めてパリの街を見下ろした印象は「わ、白い」ということでした。
おそらくほとんどの人が同じ印象を抱くかと思いますが、
イギリスの煉瓦で作られた赤茶色の街並みを見慣れていた身には、本当にパリの街の白さは驚きでした。
私はフランスの文化芸術は特に好きというのではないのですが、
このときばかりはパリの都市計画のすごさに圧倒されました。

イギリスは大抵の地域が産業革命以降の煉瓦造りの建物が多くて、町が赤茶色の印象です。
東京駅や慶応大学図書館のような感じです。
南海岸の方は細かいグレーの石造り、コッツウォルドは蜂蜜色の石灰石、
北の方は大きな淡灰色の石造りと地域によっても多少の変化はありますが。

芸術はそれが生まれた環境の影響を受けるものですが、
エコール・ド・パリの絵画はまさにパリでなければ生まれないものだと改めて思いました。
試しにパスキンの絵をイギリスの街角に置くことを想像しても全く居心地の悪い感じです。
しかしパリの街に置いてみたら、まるでカメレオンが姿を隠すようになじんでしまいそうです。

展覧会の図録もいただきましたが、そこに載っている絵は実際に見たものとは全くの別物でした。
図録の印刷が悪いというのでは決してないのですが、本物の色合いや質感があまりにも繊細で、
実物を見ないと感じられない空気感が素晴らしいのです。
3月末までの比較的長い期間開催していますので、パリが好きな方はぜひ足を運ばれるといいと思います。

2014年10月18日 (土)

菱田春草展@国立近代美術館

昨日は竹橋の国立近代美術館に菱田春草展を観に行きました。
お天気が良かったので、東京駅から皇居東御苑を通って行くことにしました。

 

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久しぶりの皇居の散歩です。東京駅から皇居周辺はいつ見ても美しいですが、お天気がいいと格別です。

 

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と、その時、馬の蹄の音が!
馬車です!目の前を馬車と護衛の白馬の衛兵が通っていきました。
慌てて写真を撮りましたが、ずいぶん先まで行ってしまいました。
中央の標識の左側(自転車の上方)に馬車があるのがおわかりになるでしょうか。。。

 

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外国の大使が着任や帰国で皇居にごあいさつに行く時に、馬車に乗る習慣があります。
車という選択肢もあるそうですが、ほぼ全員が馬車を希望するそうです。それはそうですよね。
この馬車を見たのはこれで2度目ですが、東京に住んでいても滅多に見られるものではないので、2度も見られてラッキーです。

 

ところがなんと東御苑は閉園日でした。月曜閉園は覚えていたのですが、金曜日もお休みとは盲点でした。
東御苑を抜けると美術館までのショートカットになるのですが、それができないとなるとお濠をぐるりと周らなくてはいけません。
馬車の一件がなかったら一気にテンションが下がるところでしたが、気持ちを切り替えて向かいました。

 

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私は都立九段高校という、靖国神社の隣にある高校に通っていました。
在校中に校舎の建て替えをしていたためグラウンドが使えず、冬の体育の時間はいつも皇居を走っていました。
北の丸公園を周る2kmの短いコースから、九段下の田安門を出発して皇居を周回する6kmのコースまで、様々なルートと距離を走りました。
お濠を歩いていると、持久力がないのでフラフラになりながら走っていた日々がよみがえります。
車の往来が激しいので走った後は鼻の中が真っ黒になっていて、却って健康に悪いんじゃないかと疑っていました。

 

美術館に着きました。
あいにくなことに、先日の日曜美術館で放送してしまったこともあり、とても混雑しています。
最初のうちは中々前へ進めないような感じでしたが、だんだん人がばらけてきて、後半は割とゆっくりと鑑賞できました。

 

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私が菱田春草を知ったのは、中学生のころ好きだった森脇真末味さんのマンガがきっかけでした。
ちょうどその時に回顧展が始まったため観に行って、その絵の美しさにすっかり魅了されました。
今でも日本画で一番好きなのは春草です。洋画を含めても一番好きかもしれません。
ほとんどの作品はそれ以来の再会ですが、カタログを繰り返し観ていたため、そんなに長い間観ていなかったとは思えないくらい細部まで覚えていて驚きました。

 

今回は代表作の黒き猫が15日からの後半のみの展示だったため昨日観に行ったのですが、私の大好きな「菊慈童」や「水鏡」は前半のみの展示だったと知ってかなりショックでした。
もっときちんと調べておけばよかったです。

 

春草の絵は、この世にこんなに美しい世界があるかと思うほど、繊細で幻想的です。
どの絵もいつまでもこの前に立ってぼんやりと眺めていたいと思ってしまいます。
36歳という短い生涯が惜しまれてなりません。
目を病んだ晩年も、次々と傑作を生み出していて、どれほど無念だったかと思います。

 

帰りは都営線に乗るために九段下に向かいました。
老朽化で取り壊される九段会館です。同窓会をここでやっていたこともあったので、行っておけばよかったなあと今になって思います。

 

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2014年8月21日 (木)

くまのプーさん展@銀座松屋

昨日、銀座松屋で開催されている『くまのプーさん展』に行きました。
午後6時ごろに会場に着いたのですが、混雑はそれほどではなくゆっくりと見ることができました。

今回は原書ではなくディズニーのアニメ作品の展示が主となっています。
絵本のプーさんの絵は大好きなのですがディズニーはそれほどでもないと思っていたのですが、やはり実際に原画やぬいぐるみなどを見るととてもかわいいです。
特に鉛筆で描かれたデザイン画がとても生き生きとしていてかわいらしく魅了されました。

松屋の展覧会はお土産売り場が非常に充実しています。展示物で気持ちが高揚した後で商品を見るので、なおさら魅力的に見えます。
過去にもスヌーピーやムーミンの展覧会で、こちらの心をがっちりとつかむ絶妙なデザインの限定商品に大いに購買意欲を刺激されてしまったのですが、今回もデザイン画の絵はがきや原書のプーさんのグッズなど、欲しくなるものがいっぱいありました。
心を鬼にして厳選したものだけ買いました。

2014年8月 8日 (金)

バレエ・リュス展@国立新美術館

3日(日)に六本木の国立新美術館の『魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展』を観に行きました。
夏休み中の日曜日、しかも同じ施設内でオルセー美術館展も開催中のため混雑しているのではと覚悟していきましたが、予想に反して比較的空いていて、とてもゆっくりと見ることができました。
オルセー美術館展も特設チケット売り場がありましたが行列もなく、それほど混雑している感じではありませんでした。時間ができたらそちらも行こうかと思っていたのですが、バレエ・リュス展がとても充実していたため見ることができませんでした。閉幕近くなると混雑すると思うので、早めに行くといいかと思います。

バレエ・リュスに関する展覧会は過去にもセゾン美術館や庭園美術館で開催されたものを観に行ったことがあります。バレエ・リュスは、単にバレエの歴史的に重要なだけではなく、多くの著名な音楽家や芸術家が刺激を受け、制作にも携わった当時の一大ムーブメントでした。今回の展示はオーストラリアの博物館所蔵の衣装がメインで、写真や絵などはあまりありませんでした。その点では少し物足りないですが、衣装はなかなか本物をみることができませんし、実際に見てみないと色合いや質感、細かな細工などはわからないので、すべてをじっくりと見ていると時間があっという間に過ぎてしまいます。

会場はとても暗く、室温が低く抑えられていました。薄着で来てしまったので、手足の先が冷えてしまってちょっと辛かったです。会場ではストールの貸し出しもしていました。
ただ、この室温も布製品という非常に痛みやすい素材の展覧会では仕方のないことです。
昔は私も夏の美術館の寒すぎるエアコンに「省エネの時代に逆行している!」と思っていましたが、文化財保存修復学を学んで、それが作品保護のために必要なことなのだと知りました。
特に布製品は光による褪色や高温多湿によるカビや虫食いなど、非常に劣化しやすい素材です。大学の実習で1900年代初頭のパラソルの修理をしたことがありますが、紫外線と経年劣化で布がとても脆くなっていて、ちょっと触れただけでボロボロと崩れて途方にくれてしまいました。文化財、特に布や紙などの有機物でできているものは、経年劣化は避けられません。だからといって完璧に管理された倉庫に眠らせておいては意味がないため、空調や光、展示方法などに細心の注意を払いながら展示します。寒すぎる、暗すぎると感じる室内の状況も、作品保護のためにはやむを得ないものなのです。

今回の展示品は、やはり多少の色褪せや劣化はあるものの、とても保存状態が良く、デザインの斬新さなどがよくわかります。今のように軽く薄く動きやすい合成繊維ではないので、これを着てバレエを踊るのは大変だろうなと思います。

バレエ・リュスの作品では、『ラ・シルフィード』や『薔薇の精』は今でもよく上演されます。日本だと東京バレエ団が『牧神の午後』や『ペトルーシュカ』なども度々上演します。後者はいずれも振り付けはもちろん衣装や舞台美術がとても斬新で刺激的です。

ニジンスキーに関する書籍も多く出ていますが、『ニジンスキー頌』という、ニジンスキーと同時代を生きた人々による証言集が好きです。特にチャップリンが、撮影現場に見学に訪れたニジンスキーについて記した文章が、とても印象的なエピソードもあって好きでした。今は廃刊のようなので残念です。

国立新美術館はいままでご縁がなくて、今回初めて行きましたが、吹き抜けの空間が心地よくていい建物だと思いました。時間のある時に、もっと隈なく見てみたいと思います。

2014年7月19日 (土)

デュフィ展@Bunkamuraザ・ミュージアム

昨日、文化村のデュフィ展に行ってきました。
明日表参道に行く予定があるので、そのついでに行こうと思っていたら、先週NKH『日曜美術館』で取り上げられてしまったので慌てて時間を作りました。
日曜美術館の影響力は非常に大きく、放送後には一気に来場者が増えてしまうことがしばしばあります。
休日に行くのはあきらめざるを得ません。
いつも残念に思うのが、放送が会期の後半にあることです。
ただでさえ美術展は後半の方が混雑するのに、放送がその混雑に拍車をかけてしまうのです。
または放送を見て興味を持っても、もう行く時間がなかったりします。
早くに取り上げると公共放送で宣伝をしてしまうから、という理由かもしれませんが、皆の利益のためにも放送時期を再考してほしいなと思います。

 

昨日は幸い恐れていたほどの混雑ではありませんでした。
デュフィは、イギリスにいたときにアウトレット文具を扱う店でカレンダーが安く売られていたのを購入したことがきっかけでとても好きになりました。
もちろんそれ以前から知ってはいたのですが、そのカレンダーが特に色彩の美しい作品ばかりを取り上げていたこともあり、毎月新しいページをめくるのが楽しみなほど、部屋を明るく彩ってくれました。
その年が終わった後も、特に気に入っている絵を切り取って、自分の部屋だけでなくリビングやトイレなどにも飾って楽しみました。

 

デュフィといえば美しい色合いの花や室内の静物画を思い浮かべますが、今回は初期の印象派の影響を受けた作品や版画、テキスタイルデザインなどもあり、見ごたえがありました。
特にテキスタイルのデザインは、色もデザインも美しく、今でもこんな布でバッグや服があったらいいのにと思うほどでした。
逆に静物画は期待したほどはなく、もう少しきれいな絵が見たかったと思いました。

 

デュフィのような絶妙な色合いの絵画を見ると、ステンドグラスやフュージングの色の組み合わせの参考になります。
今すぐ何かに生かすことはなくても、美しいものを見続けていくとその蓄積が作品の中にあらわれてくると思うので、常に感性を刺激せねばと思います。