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2020年6月21日 (日)

ステンドグラス 上達のヒント:Health & Safety のすすめ

今回は「上達」のヒントとは少し異なるかもしれませんが、ステンドグラス制作を長く楽しんでいくためにとてもとても重要なことについてお伝えいたします。

ちょっと長くなりますが、お読みいただけるとうれしいです。

 

イギリスの大学院の文化財保存修復学に入学したとき、最初のガイダンスのテーマの一つが「Health & Safety」でした。

日本語で言うと「安全衛生」です。

自分と周囲の健康や安全を損なわないようにすることの大切さ、という感じでしょうか。

文化財修復では様々な薬品や工具を使用します。

文化財自体もホコリまみれだったり、生物の死骸やフン、酸化物などなど人体に有害なものがついている場合があります。

そんなわけで、作業場を常に清潔にする(場合によっては消毒する)、薬品は適切に管理する、換気を心掛ける、作業後は必ず手を洗う、作業場の汚れを外に持ち出さないために必ず白衣を着る、、、などなど様々な注意事項がありました。

先生方もHealth & Safetyについてはとても厳しかったので自然と身につき、今ステンドグラスの制作をする上でとても役立っています。

 

ステンドグラス制作でも修復同様に様々な薬品を使用します。

はんだには鉛が含まれています。

ガラスも常に手を切る可能性があるし、粉末が気管や肺に入ったら大変な健康被害を引き起しかねません。

電源の入ったはんだごてを不注意に放置すると、周辺のものを焦がしたり溶かしたり、最悪の場合は火事にもなってしまうかもしれません。

ステンドグラス制作に限りませんが、工芸、DIY、園芸などなど、刃物や工具、薬品などを使用する活動は実は常に危険と隣り合わせなのです。

そのため、教室では入会する方には必ずHealth & Safetyのガイダンスを行います。

「ガラスで自分を傷つけたら痛い」というのは日常生活でも体感することなので、ガラスに対して不注意になる方はあまりいらっしゃらないのですが、はんだや薬品については、その危険性をなかなかご理解いただけないことがあります。

ですが、ガラスで指を切っても、よほどの深い傷でなければ数日辛い思いをするだけで済みますが、薬品やはんだの鉛は吸引したり皮膚から吸収したりしてしまうので、ガラスの切り傷よりもよほどたちが悪いと思うのです。

作業中は夢中になってしまってHealth & Safetyの注意が散漫になってしまう生徒さんもいるので、気づくたびに小姑みたいに注意します💦

年長の生徒さんに注意をしてしまうのは申し訳ない思いがする反面、自宅で作業をする方もいるので、ここでしっかりと理解していただかなければとついつい強い口調で言ってしまうこともあります。

 

さて、新型コロナウイルス感染症が流行し、その予防法として手洗いや外出時の注意などが広く啓蒙されました。

その中に「家から一歩でも外に出たら、そこはすべてのものが『ペンキ塗りたて』だと思って行動しましょう」というのがありました。

私はよく生徒さんに、作業中の環境を「食べ散らかしたカレー皿のあるテーブル」「焼き肉をした後の食卓」なんて言葉で表現していました。

同じようなことだけど、「ペンキ塗りたて」の方が強烈でいいですね。

 

・ペンキ塗りたてのものに触った手で、顔を触りますか?

・ペンキ塗りたての作業台に財布や眼鏡を置きますか?

・ペンキ塗りたての手を洗わずにバッグの中を探りますか?

・せっかく完成させてきれいに洗った作品を、ペンキ塗りたての作業台に戻しますか?

 

そんな想像力をもって作業をしていただけたらなあと思います。

 

こんなお話をすると、「ステンドグラスってそんなに危ないの?! じゃあ習うのやめようかな。。。」と思ってしまう方がいらっしゃるかもしれません💦

そんなことはありません!!

例えば掃除をするときでも、漂白剤や除菌剤など人体に危険な薬品を使ったり、天井掃除など危険を伴う作業もありますよね。

ガーデニングで殺虫剤を散布したり伸び放題の雑草を刈るときは、薬剤や虫から身を守るためにマスクや手袋で防御するし、作業後は汚れた衣類を着替えたり手洗いうがいをいつも以上にしっかりしたりしますよね。

スポーツだって、ケガや事故がないように気をつけながら楽しみますよね。

そんな感じで、ちょっとレベルアップした注意を払えば、趣味としてステンドグラスを楽しむことは危険なことではありません。

 

ガラスの美しさ、ランプのやさしさは、いつまでも色あせないすばらしいものです。

自分だけのとっておきの作品づくりをいつまでも楽しんでいけるように、ちょっとした注意はいつも心掛けておきたいものです。

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