カテゴリー「バレエ」の記事

2017年11月26日 (日)

ベジャール・セレブレーション

23日にはベジャール・バレエ・ローザンヌと東京バレエ団との合同ガラがありました。
作品展は7時まで、公演の開幕は7時なので、当然間に合いません。
でもどうしても観たかったのでチケットを購入し、ギャラリーを閉めて電車に飛び乗りました。

上野に7:40頃に着き、第一部の最後15分位を観られました。
お目当ては第二部だったので、そこに間に合ったので十分です。
連日寝不足なため、恐れていた睡魔に何度となく襲われながらも何とか最後まで観たつもりでした。

しかしカーテンコールで一組、(あれ、こんな衣装の人たちいたかな?)というペアが…。
どうも一曲全部見逃してしまったようです。
ショックでした。

WOWOWで中継するようなので、そこで確認します。

2017年11月18日 (土)

ベジャール・バレエ・ローザンヌ『魔笛』@東京文化会館

作品展前の超繁忙期ですが、ベジャールの公演に行かない選択肢はありません。
昨夜『魔笛』を観てきました。

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没後10年です。
東京バレエ団との合同ガラがあったとはいえ、カンパニー単独の公演は4年ぶりです。

Bプロは来週土日で作品展と完全に重なってしまうので行けません。
15才の時以来ずーっと足繁く通っていたのが途絶えてしまうのはショックでしたが、仕事なのでやむをえません。
来週水曜日の東京バレエ団との特別ガラは、作品展後に駆けつけることにしています。

パパゲーノが大貫真幹さんの予定が、代役になっていたのが少し残念でした。
大貫さんは音楽性豊かなとても素敵なダンサーなので楽しみにしていましたが、代役の若いダンサーもかわいくて踊りのラインが美しく、とても魅力的でした。
パミーノ役のダンサーもラインが美しく、二人の踊りが眼福でした。

来週の公演でも注目してみます。

2016年12月22日 (木)

東京バレエ団『くるみ割り人形』@東京文化会館

12月18日(日)の東京バレエ団のくるみ割り人形を観てきました。
くるみの全幕を観るのはとても久しぶりで、東京バレエ団のはもしかしたら初めてかもしれません。

全体として今一つ盛り上がりに欠ける印象でした。
理由を考えると、何よりも文化会館の広い舞台を活用していないというか、
舞台装置や出演者が舞台の広さと比べて少ないため、スカスカな印象があったことが大きいと思います。

1幕のクリスマスパーティの場面はいいのですが、
雪の国、お菓子の国と進んでいくにつれてセットが少なくなり出演者が減っていくのです。

各国の踊りと花のワルツの時に、舞台上に人がいないのもとても寂しい印象でした。
よくあるパターンでは、周りにベンチなどがあって人が座っていて、
踊っているダンサーに合わせて演技をするのですが、そういうのが一切ありません。
多分そういう役割の人たちがいれば、各国の踊りが2-3人でもよかったのだと思います。
主役二人のパ・ド・ドゥの時も、舞台上には花のワルツのコールド8人がいるだけ。
文化会館の舞台は広いので、なんともさびしく、まるで全幕ものというよりもバレエ・コンサートのようです。

グラン・パ・ド・ドゥの後のフィナーレのワルツの曲が短縮されていて、
主役の二人と花のワルツだけで踊っていたのも物足りなかったです。
マリンスキーなどで踊られるワガノワ版では各国のダンサーが次々と出てきて踊りを披露し、
最後も花のワルツが迎える中、手をつないで登場して皆で王子とクララを祝福します。
どこのバージョンもそういうパターンが多いように思います。

私はこのクライマックスの各国の踊り手が手をつないでワラワラと出てくるところが、
なんだかこれ以上ない幸せな光景に思えて涙腺が緩んでしまうほど大好きです。
曲の盛り上がりもすばらしく、本当に夢のような美しい世界です。
曲が短く、ダンサーも少なかったために、そのような盛り上がりが少し足りなかったように思います。

ダンサーそれぞれの踊りはとてもすてきでした。
最近観たドンキや白鳥、ラ・シルフィードはいずれもレベルが高く迫力ある舞台だっただけに、少し残念でした。

個人的な好みになってしまいますが、私はもっと華やかなくるみの方が好きかなと思います。
そしてそろそろ、東京バレエ団には彼らの貴重な財産であるベジャール版くるみを再演してほしいです。

2016年9月22日 (木)

マシュー・ボーン『眠れる森の美女』@シアターオーブ

ここ数か月、公私共々何かと忙しく過ごしました。
この連休でどうにかヤマを越え、少しホッとしています。

昨日は舞台鑑賞に行ってきました。
観たいと思いつつ予定が立たなかったためチケットを購入していなかったのですが、ようやく時間が空いたので飛び込みました。2階の端の席でしたが、それほど大きくない劇場なので問題なく鑑賞できました。

最初は録音の音楽が少し違和感がありましたが、しばらくすると慣れました。
マシュー・ボーンの舞台はロンドンでは生オケなのに、同じくらいの金額を支払う来日公演では録音になるのは残念です。

衣装や舞台美術はいつもながらとてもセンスが良くて、音楽の使い方の上手さも相変わらずです。
まるでこの演出のために作曲されたかのようです。
この曲をこう使うか!という驚きもあります。

ただ、だんだん私自身がボーンの演出に慣れてしまって、初体験だったロンドンでの『ザ・カー・マン』やアダム・クーパーの『Swan Lake』の時のような興奮を感じられなくなってしまっています。
『Swan Lake』は今でも再演の度に感動があるので、単に作品の好き嫌いかもしれませんが。

来日の度にカンパニーのダンサーの実力が上がっていることが興味深いです。
今回の主役二人の踊りは多彩なリフトなど、バレエの素養がないと踊りこなせないものでした。
その分、振り付けがよりコンテンポラリーからクラシックに近づいています。
もともとボーンはコンテのバックグラウンドを持つ人だし、アダム・クーパー版白鳥の映像を見ると、当時の振り付けもダンサーもコンテ色が強いです。
振付家が有名になるにつれて優秀なダンサーが集まるようになり、難しいクラシカルな振り付けでも踊れるようになって、作品にクラシック色が増えていく、、、というとなんだかベジャールとも通じるみたいです。

シアターオーブは迷路のような階段があって、トイレに行くのに迷子になったりするのが困るのですが、そんな階段の迷宮のような雰囲気や眺望、椅子の座りやすさなど、魅力のある劇場だと思います。
バレエを上演するには少し舞台が狭いのでなかなか来ることはないのですが、久しぶりだったので劇場の雰囲気を楽しめたのはよかったです。

2015年11月 1日 (日)

東京バレエ団『ドン・キホーテ』@神奈川県民ホール

3週間後に迫った作品展の準備でタイトな日々を過ごしていますが
昨日はその合間を縫って横浜までバレエを観に行きました。

沖香菜子さんと梅澤紘貴さんの、日本で一番の美男美女カップルと勝手に思っているお二人が主演です。

昨年の地方公演で主役デビューされたのを知った時から待ち望んでいた首都圏での全幕上演です。
夏の目黒のバレエまつり、横浜の野外公演に続いて今年3度目の観劇ですが
過去2回はダイジェスト版だったので今回は2時間の眼福を楽しめました。

梅澤さんはノーブルでさわやかな雰囲気なのでバジルを演じると知った時は意外に思いましたが、
とてもさわやかで好青年なバジルが新鮮です。
沖さんのキトリもとてもかわいらしく、お二人の雰囲気が合っていて自然なのがこのペアの強みです。

ドンキは場面転換が多くて、結構な長丁場の作品です。
東京バレエ団のワシリエフ版ではそれを全2幕として上演するので比較的スピーディに展開しますが
最近、作品展の準備で寝不足気味なので、途中で居眠りをしないかと心配しました。
幸い、好きなダンサーがたくさん出ていたので、睡魔に襲われる間もなく無事に楽しく観られました。

今回、秋元康臣さんを初めて観ることができたのがうれしかったです。
1か月前に主役以外の主要キャストがサイトで発表されていたようですが
そんなに頻繁にサイトを覗くわけでもないし、夏の2公演と同じキャストだろうと思っていたので
会場で配役表を見て、闘牛士エスパーダが秋元さんであることに驚きました。

今年夏にプリンシパルとして入団されて、来年の白鳥の湖で主演デビューする方です。
思いがけず早くにその姿を観ることができて、来た甲斐がありました。
とても実力のあるダンサーだということは聞いていたので
バジルが食われてしまわないかとちょっと心配しましたが
あまりにもキャラが違う上に、身長が同じくらいだったので、自然に共存していてよかったです。

なんというか、変な言い方ですが、エスパーダの踊りってちゃんとクラシックバレエだったんだということを
今回の秋元さんの踊りを観て教えてもらった思いがしました。
闘牛士エスパーダの踊りはキャラクターダンス(民族舞踊的なもの)風な振りが多くて
あまりクラシックバレエの踊りという印象がなかったのですが
秋元さんの踊りは、スペイン舞踊や闘牛士のポーズの形をとりながらも基本にしっかりバレエが根付いていました。
そのように踊ると、エスパーダの踊りはすごく恰好いいということがわかりました。
それだけとても難しい振りだということも。

いつも8人の闘牛士を演じる松野乃知さんが容姿がエスパーダにぴったりなので
いつかはエスパーダに昇格してほしいと思っていますが
松野さんもクラシックのテクニックがきちんとしている方なので、
秋元さんみたいに格好いいエスパーダになってくれると期待します。

夏のオーディションで秋元さんと共に入団した宮川新大さんは
来年のラ・シルフィードで主役デビューするそうです。
お二人とも海外のバレエ団での活躍経験がありますが、
現在は他にもたくさんの日本人ダンサーが海外のカンパニーで踊っているので
そういう人たちが日本に戻りたいと思った時に、フリーになるのではなく
日本のカンパニーに入団して再び活躍するというのは本人にもカンパニーにもいいことだと思います。
こういうことを刺激にして全体がレベルアップしてくれるといいなと思います。

2015年8月27日 (木)

東京バレエ団「ドン・キホーテの夢」

先週8月22日(土)、目黒パーシモンホールで上演された「子供のためのバレエ ドン・キホーテの夢」を観に行きました。
東京バレエ団が目黒区の後援で行っている「目黒のバレエまつり」という夏のイベントの一環の公演です。
全幕バレエ「ドン・キホーテ」のダイジェスト版で、チケットがS席でも5,000円といううれしい価格の上、主演もバレエ団の本公演でも主役を演じるダンサーたちです。

日曜日には「眠れる森の美女」のダイジェスト公演があり、それ以外にもバレエを初体験できたりティアラをつくる体験教室があったりと、子供の自由研究にも役立つような企画がいくつもありました。

ドン・キは11時半と15時からの2回公演がありましたが、私はそのうちの11時半からの公演に行きました。
宝塚ファンだけどバレエは初めてという友人と一緒です。
11時半からの回の主演は、4月にプリンシパルに昇格したばかりの梅澤紘貴さんと、ここ数年重要な役を次々とこなしている若手の沖香菜子さんです。

梅澤さんは数年前に演じたベジャール版くるみの猫のフェリックスや春の祭典のいけにえ役がとても素敵で、当時ベテランが次々と退団して実力ダウンしてしまっていたバレエ団の中で希望の光に見えた方です。
細身のラインと、小さい頃からバレエをきちんと習ってきたことがよくわかる丁寧な動きがとても優雅です。
王子キャラの梅澤さんが、海外ゲストを迎えたドン・キで三枚目の貴族ガマーシュを踊っていたのには驚きましたが、今回はバジルです。

沖さんはベジャール版くるみのコーヒーの踊りで驚異的な柔軟性を見せていて、小柄でお人形のようなかわいらしいルックスにも驚きました。
数人で踊っていてもキラキラと輝いて、思わず目で追ってしまう華のあるダンサーです。

今回は公演前のレッスンも見学できました。
1階客席の後ろ半分を開放して見学者を受け入れていましたが、すぐに満員になってしまい、2階席も開放したようです。
バレエを習っているのがすぐわかる、細くてまっすぐな姿勢の女の子たちがいっぱいいました。

バレエは非常に細かい決めごとがたくさんあり、その基本に沿って踊ることで、美しく正確なテクニックを表現できます。
そのため、公演当日でも舞台上にバーを出して、日々のレッスンと同じレッスンを行います。
さすがに直後に本番があるため、内容は軽めというか、基礎をきちんと確認するような内容でしたが、一連の必要な動きを全て網羅していました。
沖さんやドン・キホーテ役の木村和夫さんは、客席から見やすい場所でバーレッスンを行っていたのですぐにわかったのですが、梅澤さんは一番奥の列の一番端にいらしたので、オペラグラスで必死に探しました。

子供たちは1時間以上のレッスンを、とても熱心に見学していました。
プロのダンサーたちが、公演直前にこのようにきっちりとレッスンをしていること、自分たちがやっていることの先にこの世界があるのだと知ることは、子供達にはとても有意義なことだと思います。
私立バレエ団がこのような企画を行うのは、予算などいろいろと大変だと思いますが、すばらしいことだと思います。

「ドン・キホーテの夢」は従者サンチョ・パンサが狂言回しになって状況を説明したり、子供受けするような馬のロシナンテとそのお嫁さん(お嫁さん馬:笑)が出てきたりと、子供が飽きない工夫がされていました。
サンチョ・パンサのセリフが落語ぽくて、まさか柳家花禄監修とかじゃないよね、、、なんて思いました。
(お兄さんの小林十市さんが公開レッスンなどをされているので、なくもないかな、、、と)

ダイジェスト版なので、正直話の展開がわかりづらい部分があったり、短縮された分、主役二人は休む間が短くて大変そうでした。
主役のお二人は背格好がバランスよく、とても素敵でした。
沖さんはキリリとした表情がキトリにぴったりで、梅澤さんも王子の気品はそのままに、とてもさわやかなバジルでした。
特にピルエットを5-6回きれいに回って、減速しながらきれいに基本の5番ポジションに戻るという、ロシアのダンサーみたいな妙技を見せてくれました。
公開レッスンで、プロとはいっても全員がピルエット4回以上を安定して回れるわけではないんだということがわかった後なので、なおさらそのすごさを感じました。

お二人ともとてもきれいな踊りで、力任せに踊って崩れるのが嫌いな私にはとても気持ちよい舞台でした。
ただ、ドン・キは庶民が主役のお祭り騒ぎみたいな話なので、もう少しはっちゃけてもいいかなと思う部分もありました。
ぜひ回を重ねてブラッシュアップしていってほしいです。
10月には横浜で全幕公演があります。このお二人の全幕をぜひ見てみたいのですが、ステンドグラス教室の作品展の直前なので迷っています。
でも会場で昨年お二人で演じたくるみ割り人形の映像が流れていて、梅澤王子の赤い軍服の美しさに、行かなかった自分を激しく攻めました。
やはり舞台は一期一会なので、行けるときには行かなきゃ、、、と痛感です。
とりあえず明後日金曜日の横浜の野外公演のチケットを慌てて取りました。
もう一度お二人のドン・キが1幕だけですが見られます。
久しぶりに上野水香さんのボレロも見られるので、楽しみです。

宝塚ファンの友人は、沖さんと、レッスンに参加していた日曜の眠りの主役の河谷まりあさんのかわいらしくキラキラしたオーラにすっかり魅了されていました。
やはり話の筋がわかりづらかったようですが、バレエにも興味を持ってもらえてうれしかったです。
終演後は駅に戻る途中のカレー屋さんでランチしながら、バレエについていろいろとお話ししました。

2015年8月 6日 (木)

第14回世界バレエフェスティバルAプログラム 8月4日(火)

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3年に一度の「熱い夏」がやってきました。
今年は本当に酷暑なので、ヨーロッパから来日したダンサーはさぞや大変な思いをしているのではと心配です。

会場はきれいに飾られて、自然と気持ちが高まります。

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プリセツカヤの追悼プログラムもありました。
映像が古いので、彼女の瀕死の白鳥の素晴らしさがうまく伝わらないもどかしさはありましたが
とにかくすごい人なのだと、彼女を知らない若い方たちが知ってくれたらうれしいです。

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1985年の第3回から30年間(!)見続けているバレエフェスですが、今回初めてガラのチケットが取れました。
A、B、ガラと行けることになって本当にうれしいですが、おかげで今は極貧生活です。

4日にAプロを観ました。
ここ最近、バレエフェスはメンバーが固定してしまって、フレッシュな顔が少ないのが残念です。
以前は新たなスターやアイドルが出てきていたのに、近年では前々回のダニール・シムキンくらいです。
パリ・オペラ座(「元」も含めて)のメンバーも多すぎる気がします。2組くらいで十分では。
ノイマイヤーの「椿姫」、クランコの「オネーギン」、マクミランの「マノン」も
こう毎回、しかもA、B両方で上演したりすると、「他にないのかい!」と言いたくなります。
だったらマッツ・エクのジゼルとかやってくれないかなあ、とも思います。

逆になぜ英国ロイヤルのダンサーにマクミランやアシュトンを踊ってもらわないのでしょう。
後述しますが、やはりこういうのは「餅は餅屋」なのに。
サラ・ラムにラ・フィユ・マル・ガルデとか踊ってほしかったなあと思います。

あと「世界」というのなら、日本の優れたダンサーや振付家の作品を上演してもいいのではと思います。
ABTの加治屋百合子さんとか世界の大バレエ団でプリンシパルやソリストとして大活躍してる方はたくさんいるし
振付だってベテランの勅使河原三郎さんに始まり金森譲さんとか小㞍健太さんとか
世界的に評価されている人もいるし、小野寺修二さんとかもすごく面白いし、
世界のバレエ=欧米とはまさか今更思ってはいないでしょうが、ちょっと残念です。
去年久しぶりに勅使河原さんの舞台を見ましたが、やっぱりあの身体表現はすごいと思うし
日本人でバレエフェスに来るほどバレエが好きな人たちが勅使河原三郎を知らないのはもったいなさすぎると思います。

と、先に不満を述べましたが。
全体的にはプログラム構成が良くて、見ごたえのあるAプロだったと思います。
そしてつくづく思ったのは「餅は餅屋」ということ。
ノイマイヤー作品を踊ったハンブルグ・バレエ団のダンサーたちと
クランコ「オネーギン」を踊ったシュツットガルトの二人のすごかったこと!
どっちもノイマイヤー/クランコはこう踊るんですよ、というお手本のようでした。
振付家特有の身体表現をネイティブにしている人たちは訴えてくるものの大きさが違います。

ノイマイヤーの難しい振りを空を切り裂くような鋭い緊張感で踊った4人は本当に素敵でした。
若い頃はノイマイヤーは難解な感じでどうもピンとこなかったのですが
最近改めて、ノイマイヤーっていいなと思うようになりました。
私の精神年齢がようやく追いついたのかもしれません。

フリーデマン・フォーゲルがオネーギンを演じているのを観て、
彼もそんな年齢になったのだなと感慨深かったです。
今も若々しくて「永遠のレンスキー」のようなフォーゲルですが
今年の秋にはオネーギン全幕を日本で上演します。
今回の抜粋を観て行きたくなりましたが、残念ながら日程が作品展と丸かぶりなので諦めました。

何回目からかはわかりませんが、A、Bのトリは「ドン・キホーテ」が恒例となっています。
コーダの女性のフェッテ(連続回転)で手拍子をするのが、これもいつごろからかわかりませんが
恒例のようになっていました。これはわりと最近のことだと思います。
あれってダンサーにとっては自分のリズムを崩されるからやりにくいんじゃないかと心配していて
最近何人かのダンサーの方に聞いてみたら、やはり一様に「勘弁してほしい」と言っていました。
気にならない、むしろうれしいという人もいるかもしれませんが
ただでさえ緊張する一番の見せ場で、必ずしも音にぴったり合うように回転できるわけではないのに
手拍子が入るのはつらいというダンサーもいるのです。
今回、プログラムに小さく「拍手はご遠慮ください」と書いていありました。
ただ、あまりに小さい字でひっそりと書かれていたからか、やはり手拍子は起りましたが
いつもよりは小さかったように思います。
今回のヴィエングセイ・ヴァルデスは手拍子があろうがなかろうがお構いなし!という感じの
無敵のフェッテでしたが、今後どうなるのかなあと思います。

2015年5月22日 (金)

谷桃子先生とマイヤ・プリセツカヤの訃報

もう2週間くらい前の話ですが、日本と世界のバレエ界の伝説のバレリーナが相次いで亡くなられました。

私は子供のころにバレエを習っていましたが、教えていただいた小野正子先生が谷桃子バレエ団のソリストだった方で、教室の発表会には谷先生がいらっしゃることもありました。
とても小柄で品のある、失礼な表現ですが幼稚園児の目には「かわいいおばあちゃん」という印象でした。
ジゼルを得意とするバレリーナというと「ああ、演技力があるのだな」と思いますが、谷先生もジゼルを当たり役とした方でした。私は現役で踊る姿を観てはいませんが、小野先生が表現力に重点を置いた指導をしていたのは、きっと谷先生の薫陶を受けたために自分の生徒にも表現力豊かな踊りを踊ってほしいという思いがあったのだと思います。

プリセツカヤは幸いにも生の舞台を何度も観ています。
私が見た時にはすでに60才近い年齢でしたが、彼女の代名詞でもある『瀕死の白鳥』は圧巻でした。
瀕死の白鳥は彼女のために振付けられた作品ではありませんが、他のバレリーナが踊るのをあまり見たことがありません。どうしてもプリセツカヤと比較されてしまうので、ダンサーにとって非常にハードルが高い作品となってしまったのかもしれません。それくらいプリセツカヤの瀕死はすでに「生きた伝説」という感じでした。プリセツカヤの瀕死とジョルジュ・ドンのボレロは、バレエの世界において他に比べるもののない特別なものだと思います。

プリセツカヤの瀕死の白鳥は、毎回少しずつ振りが異なりました。とてもたおやかに弱弱しいときもあれば、死の運命に立ち向かうように力強いときもありました。ほんの数分の作品ですが、いろいろなことが凝縮されていて、見る人やタイミングによっても、様々なメッセージを受け取れる作品です。
下手から舞台に出てくる時の腕の動きの美しさは、初めて観たときはほんとうに衝撃的でした。
カーテンコールでも他を圧するような存在感がありましたが、笑顔がとても暖かくて、時々瀕死の白鳥をもう一回踊るサービスをしてくれたりもしました。
ベジャールなどのモダンも踊っていたのは当時のロシアのベテランのバレリーナには珍しいことでしたが、彼女自身がとても波乱万丈な半生を送っていたので、その生き方が反映するような表現が印象的でした。
とにかくなにをやっても、タイトルに「プリセツカヤの」とつけたくなるような、唯一無二の存在でした。

プリセツカヤはロシアのダンサーを引き連れてのガラ公演をしばしば行っていました。
当時若手で日本で人気絶頂だったマラーホフがガラの常連になっていたので、一度の舞台でプリセツカヤの魂を揺さぶるすごい踊りと、若さいっぱいの美しいマラーホフの跳躍を観られて、今振り返っても何て贅沢な舞台を観にいっていたのだろうと思います。

国立モスクワ音楽劇場バレエ『エスメラルダ』@東京文化会館

5年ぶりの国立モスクワ音楽劇場バレエの公演のうち、20日(水)お昼の部の『エスメラルダ』を観てきました。
ガラ公演でしばしばグラン・パ・ド・ドゥが踊られるエスメラルダですが、全幕公演は非常に珍しいものです。
前回の来日公演の時に私も初めて観ました。

モスクワ音楽劇場バレエの特徴として、非常に演劇的な舞台をつくるというのがあります。
子供のころ、当時のソ連のバレエ団がとてもスタンダードな演出の作品を上演していた中で、このカンパニーの悲劇に終わる白鳥の湖の演出にとても驚いたのを覚えています。のちに、ハッピーエンドの演出は共産主義のソビエト時代にできたもので、本来の演出は悲劇だったと知りました。確かに初演当時の時代背景を思えば、ハリウッド映画のような都合のよいハッピーエンドになる訳がないなと納得しました。

ロマの娘のエスメラルダがタンバリンを持って踊る場面がグランの見せ場になっているのですが、このブルメイステル版ではそのパ・ド・ドゥはありません。きっといくつかバージョンがあるのでしょうが、そもそも他の演出の脚本や振り付けが残っているのかもよくわかりません。

20日昼の部の主役エスメラルダはオクサーナ・カルダシュでした。比較的小柄で愛らしい容姿がぴったりです。
女性はトウシューズで立つと身長が10cm以上大きくなってしまうので、昔はトウで立っても男性よりも小さいような小柄な人が多かったですが、シルヴィ・ギエムの登場以来、バレリーナの体系の基準もすっかり変わって長身のスーパーモデルのようなダンサーも多くいます。カルダシュのような小柄できびきびした踊りを見せてくれるバレリーナは、ソリストクラスにはいても主役を踊るプリンシパルには少なくなってきたように思いますが、こういう「ザ・バレリーナ」という容姿や踊りのダンサーもいてくれた方がいいなと思います。ジゼルやオーロラ姫は小柄な方が役柄にあっていると思います。

エスメラルダが恋に落ちる兵士フェビュスはイワン・ミハリョフで、こちらは長身で容姿端麗、エスメラルダが一目ぼれするのも納得です。踊りのテクニックもあって、長身を生かした雄大なジャンプが見ごたえがありました。
バレエはとてつもない身体能力と的確な演技力が求められるうえに、主役を踊るためには誰かを一目ぼれさせるような華やかな美しさまで求められるので、本当に残酷な芸術だと思います。
ロシアのバレエ団で主役を張るような人たちは、皆そのようなすごい資質を持った人たちなので、難しいことを考えなくてもただ舞台を見ているだけでも眼福の思いです。

ただこのフェビュスという役は、婚約者がいながらエスメラルダと恋におち、立場がまずくなってくるとあっさりと捨ててエスメラルダの悲劇的な運命に背を向けるという、ラ・バヤデールのソロルといい勝負の軽薄男です。
ソロルやジゼルのアルブレヒトは一応後悔もするし、演じ方によっては「彼も仕方なかったんだよね」と同情できる余地がありますが、フェビュスはなんだか救いようもないな~という感じです。

前回の来日公演で見たフェビュスは、その後ボリショイのプリンシパルになったセミューン・チュージンで、若くて金髪の優男のチュージンが演じると本当にこの役の身分や若さゆえの冷酷さが出て、カーテンコールで拍手するのも嫌になってしまうくらいでした。今回他のダンサーで見てもやはり同情の余地はないダメっぷりで、バレエに出てくる男は結構頭が軽いキャラが多いとはいえ、ダンサーも踊っていてストレスがたまるんじゃないかと変な心配をしてしまいました。

今回久しぶりにバレエの公演に行って、今後行われる公演のチラシをいっぱいもらってきました。
劇場に行かなくなるとチラシで公演予定を知ることもできなくなって、ますます劇場から遠ざかるという悪循環に陥ってしまいます。今回もらったチラシを見ていたら、いろいろと行きたい公演がありました。バレエのチケットも来日公演となると大変高額なので、そう簡単に観にはいけませんが、欧米のバレエ団が休暇に入る夏には様々な企画が開かれるので、機会をみつけて行ってみたいと思います。

2014年12月 4日 (木)

Jewels from MIZUKA @神奈川県民ホール

最近バレエに関しては東京バレエ団絡みが多いですが、こちらは上野水香さん初のプロデュース公演です。
先週の土曜日、11月29日に神奈川県民ホールで行われました。

海外のダンサーは、ルグリやマラーホフなどのプロデュース公演がしばしば開催されますし、バレエ団の公演でもガラ公演という小品や全幕ものの見どころ部分を抜粋したプログラムもあるのですが、日本のバレエ団やダンサーがそのような公演を持つのはあまりありません。
今回は一日限りのお祭りのような、とても見どころの多い楽しい公演でした。
特に最後の『ドン・キホーテ』では、東京バレエ団のプリンシパルやソリストたちが次々と出てきて、こんなに大勢出演するとは思っていなかったので、とてもうれしいサプライズです。ダンサーの方たちも、普段の公演とは異なり学園祭を楽しむように生き生きとしていました。

ひとつひとつに感想を述べたいくらいですが、特筆すべきはマラーホフの『瀕死の白鳥』でした。
近年けがで踊れなかったためか年齢のためか、お腹周りがふっくらして、かつての少女マンガのような美しいシルエットが失われてしまい、20年来のファンとしては非常に悲しい思いをしていました。今回の瀕死は以前にも観たことがあり素敵な作品なのはわかっていますが、ほぼ全裸だしどうなのかな、、、と不安がありました。
しかし今回の瀕死は、ここ最近の舞台の中でも特にすばらしいものでした。
瀕死の白鳥の美しい音楽が彼の体によって奏でられているようで、腕の動き、表情など全てがずっと観ていたいと思わせる迫力に満ちていました。体型がどうとかいうことよりも、マラーホフのすごさを再認識させられる舞台でした。
プリセツカヤの瀕死のように、年を重ねるにつれて訴えてくるものが深くなるのかもしれません。

今回、何組かのペアがパドドゥを踊り、新たな発見もありました。このようなコンサート形式の公演は、ダンサーにとっては普段のバレエ団の全幕公演では頻繁には踊れない主役の踊りを発表できるし、観客は新たにお気に入りのダンサーを見つければ、次はその人の活躍する公演に行きたいと思うし、お互いにとてもよい機会だと思います。ぜひとも続けていってほしいと願っています。