カテゴリー「文化・芸術」の記事

2014年10月18日 (土)

菱田春草展@国立近代美術館

昨日は竹橋の国立近代美術館に菱田春草展を観に行きました。
お天気が良かったので、東京駅から皇居東御苑を通って行くことにしました。

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久しぶりの皇居の散歩です。東京駅から皇居周辺はいつ見ても美しいですが、お天気がいいと格別です。

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と、その時、馬の蹄の音が!
馬車です!目の前を馬車と護衛の白馬の衛兵が通っていきました。
慌てて写真を撮りましたが、ずいぶん先まで行ってしまいました。
中央の標識の左側(自転車の上方)に馬車があるのがおわかりになるでしょうか。。。

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外国の大使が着任や帰国で皇居にごあいさつに行く時に、馬車に乗る習慣があります。
車という選択肢もあるそうですが、ほぼ全員が馬車を希望するそうです。それはそうですよね。
この馬車を見たのはこれで2度目ですが、東京に住んでいても滅多に見られるものではないので、2度も見られてラッキーです。

ところがなんと東御苑は閉園日でした。月曜閉園は覚えていたのですが、金曜日もお休みとは盲点でした。
東御苑を抜けると美術館までのショートカットになるのですが、それができないとなるとお濠をぐるりと周らなくてはいけません。
馬車の一件がなかったら一気にテンションが下がるところでしたが、気持ちを切り替えて向かいました。

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私は都立九段高校という、靖国神社の隣にある高校に通っていました。
在校中に校舎の建て替えをしていたためグラウンドが使えず、冬の体育の時間はいつも皇居を走っていました。
北の丸公園を周る2kmの短いコースから、九段下の田安門を出発して皇居を周回する6kmのコースまで、様々なルートと距離を走りました。
お濠を歩いていると、持久力がないのでフラフラになりながら走っていた日々がよみがえります。
車の往来が激しいので走った後は鼻の中が真っ黒になっていて、却って健康に悪いんじゃないかと疑っていました。

美術館に着きました。
あいにくなことに、先日の日曜美術館で放送してしまったこともあり、とても混雑しています。
最初のうちは中々前へ進めないような感じでしたが、だんだん人がばらけてきて、後半は割とゆっくりと鑑賞できました。

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私が菱田春草を知ったのは、中学生のころ好きだった森脇真末味さんのマンガがきっかけでした。
ちょうどその時に回顧展が始まったため観に行って、その絵の美しさにすっかり魅了されました。
今でも日本画で一番好きなのは春草です。洋画を含めても一番好きかもしれません。
ほとんどの作品はそれ以来の再会ですが、カタログを繰り返し観ていたため、そんなに長い間観ていなかったとは思えないくらい細部まで覚えていて驚きました。

今回は代表作の黒き猫が15日からの後半のみの展示だったため昨日観に行ったのですが、私の大好きな「菊慈童」や「水鏡」は前半のみの展示だったと知ってかなりショックでした。
もっときちんと調べておけばよかったです。

春草の絵は、この世にこんなに美しい世界があるかと思うほど、繊細で幻想的です。
どの絵もいつまでもこの前に立ってぼんやりと眺めていたいと思ってしまいます。
36歳という短い生涯が惜しまれてなりません。
目を病んだ晩年も、次々と傑作を生み出していて、どれほど無念だったかと思います。

帰りは都営線に乗るために九段下に向かいました。
老朽化で取り壊される九段会館です。同窓会をここでやっていたこともあったので、行っておけばよかったなあと今になって思います。

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2014年7月19日 (土)

デュフィ展@Bunkamuraザ・ミュージアム

昨日、文化村のデュフィ展に行ってきました。
明日表参道に行く予定があるので、そのついでに行こうと思っていたら、先週NKH『日曜美術館』で取り上げられてしまったので慌てて時間を作りました。
日曜美術館の影響力は非常に大きく、放送後には一気に来場者が増えてしまうことがしばしばあります。
休日に行くのはあきらめざるを得ません。
いつも残念に思うのが、放送が会期の後半にあることです。
ただでさえ美術展は後半の方が混雑するのに、放送がその混雑に拍車をかけてしまうのです。
または放送を見て興味を持っても、もう行く時間がなかったりします。
早くに取り上げると公共放送で宣伝をしてしまうから、という理由かもしれませんが、皆の利益のためにも放送時期を再考してほしいなと思います。

昨日は幸い恐れていたほどの混雑ではありませんでした。
デュフィは、イギリスにいたときにアウトレット文具を扱う店でカレンダーが安く売られていたのを購入したことがきっかけでとても好きになりました。
もちろんそれ以前から知ってはいたのですが、そのカレンダーが特に色彩の美しい作品ばかりを取り上げていたこともあり、毎月新しいページをめくるのが楽しみなほど、部屋を明るく彩ってくれました。
その年が終わった後も、特に気に入っている絵を切り取って、自分の部屋だけでなくリビングやトイレなどにも飾って楽しみました。

デュフィといえば美しい色合いの花や室内の静物画を思い浮かべますが、今回は初期の印象派の影響を受けた作品や版画、テキスタイルデザインなどもあり、見ごたえがありました。
特にテキスタイルのデザインは、色もデザインも美しく、今でもこんな布でバッグや服があったらいいのにと思うほどでした。
逆に静物画は期待したほどはなく、もう少しきれいな絵が見たかったと思いました。

デュフィのような絶妙な色合いの絵画を見ると、ステンドグラスやフュージングの色の組み合わせの参考になります。
今すぐ何かに生かすことはなくても、美しいものを見続けていくとその蓄積が作品の中にあらわれてくると思うので、常に感性を刺激せねばと思います。

2014年5月 4日 (日)

ムーミン展@松屋銀座

2日には松屋銀座で開催されているムーミン展にいきました。
作者のトーベ・ヤンソン生誕100年記念だそうです。

ムーミンは子供のころ放映されていたアニメが大好きでしたが、原作は読んだことがありません。
原作とアニメは設定などがいろいろと異なるということは知っていますが、具体的にどうということにはあまり詳しくありませんでした。
ムーミンもアニメのかわいらしい絵に慣れていたので、子供の頃は原作の外国風の絵柄がちょっと怖くてあまり好きではありませんでした。大人になってようやくその魅力に気づきました。

今回の展覧会では挿絵やその習作などの原画が150点近く展示されており、大変見ごたえがありました。

まず驚いたのがその原画のサイズです。ほとんどの挿絵が10センチ四方以下のような非常に小さいものでした。
文庫本の挿絵の実物大という感じです。
その小さい絵の中に、実に細かく登場人物や背景が描き込まれています。
そのため一つ一つを鑑賞するのに、顔を近づけてじっくり観ることになるので、必然的に会場は大変混雑していました。
でも前の人が見終わるのを待ってでも全部をじっくりと観たいと思わされる魅力的な作品ばかりで、実際にそれほど大きな会場ではないはずなのに1時間以上かかってしまいました。
そのディテールの細かさはビアズリーや、もっと古い時代のデューラーの銅版画などにも通じる感じで、ヨーロッパのイラストレーションの伝統の中にムーミンも位置するのだということを改めて感じました。

実際に観ているときはそんな難しいことは吹っ飛んでしまい、ムーミンや他のキャラクターのかわいさにただただテンションが上がってしまいました。背景の花や鳥などはヘタウマな感じでもあり、とてもユーモラスです。
図録を買えばよかったと、今は激しく後悔しています。

グッズ売り場も、どの商品もかわいくて欲しくなってしまって、非常に危険な場所でした。
じっくり見始めたら買い物地獄にはまってしまいそうで、絵葉書を選んで逃げるように立ち去りました。

キルトフェスティバルも今年はムーミンをテーマにしていたし、今年は他にもムーミンに出会う機会があるかもしれません。
せっかくだから原作も読んでみようかなと思います。

ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1990@三菱一号館美術館

1週間ご無沙汰してしまっている間に、展覧会2か所とタンゴの舞台を観に行きました。

先月29日は祖母の命日のため、恒例の浅草への墓参りに行きました。
ここ数年、お彼岸も昭和の日も浅草は大変な混雑だったのですが、この日はそれほどでもありませんでした。
やはりGWとはいえ日並びが良くないからでしょうか。
おかげで一度行ってみたいと思いつつ常に満席で入れなかったイタリアンのお店で、念願のランチができました。
ウニのトマトクリームパスタがとてもおいしく、お店の雰囲気も堅苦しくなくすてきでした。

都営交通の一日乗車券を購入したのでフルに活用し、浅草橋問屋街での買い物の後日本橋に行き、そこから徒歩で丸の内の三菱一号館美術館まで行きました。
東京駅周辺も、去年と比較するとそれほどの混雑ではありませんでした。

三菱一号館では6日までイギリスの19世紀絵画の展覧会が開催されています。
建物自体が英国風なので、ラファエル前派などイギリス絵画の展覧会がすでに何度か開かれているように思います。
今回久しぶりに行ったら、床にカーペットが敷かれていました。
一号館は昔の建物の復元自体はとても雰囲気があってよいのですが、かつては床が板張りで、硬いヒールの靴で歩く人がいるとものすごく足音が響きました。
知らずにハイヒールで行った知人が、歩く度に針のむしろ状態で絵画鑑賞どころではなかったと嘆いていたので、私もいつも靴には気を付けて今回もゴム底の靴で行ったのですが、さすがにお客様からの要望も大きかったのでしょう。改善されていて安心しました。

イギリスの唯美主義ということで、バーン・ジョーンズやロセッティなどのラファエル前派やビアズリーなどの世紀末の挿絵画家の絵画の他、家具やアクセサリーなどの工芸品も展示されていました。
ラファエル前派は中学生の時に当時の伊勢丹美術館での回顧展に行って魅了されて以来、イギリスでもたくさん見てきました。今回は、特に私の好きなフレデリック・レイトンの初めて見る絵画があったのでうれしかったです。
企画展のキャッチフレーズでもある「唯、美しい」ということでいえば、レイトンの絵画が最も美しいと思います。あまり深いテーマ性などが感じられず「ただただ美しい」ということに特化していて、あっぱれとすら思います。

ロンドンのサウスケンジントンに、彼の住居がそのまま美術館になった「レイトン・ハウス」があります。
ロンドンに行くと、「ウォレス・コレクション」とともに必ず行く大好きなギャラリーです。
個人の邸宅に本人が描いた作品や収集した作品を展示する形のギャラリーは、その持ち主と趣味が合うと、まるで「私の夢のギャラリー」のようで興奮します。
レイトンハウスは小さいながらもその内装の呆れるほどの華麗さと展示されている絵画のうつくしさで、しばし異次元にトリップできます。
サウスケンジントン駅から少し歩きますが、お勧めのギャラリーです。
ウォレス・コレクションはフランスのロココ時代の絵画やイギリス・ヴィクトリア時代の風景画・肖像画、ハルスなどオランダ絵画など、これまた私と趣味がほぼ一致する美術館で、何度行っても飽きません。
こちらはオックスフォード・ストリートの繁華街から少し奥に入ったところで、周辺にはお店やレストランもたくさんあります。

一号館の企画展では久しぶりにビアズリーの「サロメ」の挿絵が見られたのもうれしかったです。
1990年代は世紀末ということなのか何周年というのがあったのか、ビアズリーもよく来ていたように思います。
全体的にそれほど目玉になるような重要な作品があった訳ではありませんが、この時代を知るには良い企画かなと思いました。