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2019年10月29日 (火)

東京バレエ団×勅使河原三郎 @東京文化会館

そんなこんなの大忙しの中で、26日(土)には上野にバレエを観に行きました。

思えば前回は作品展中にベジャールの公演があり、ギャラリーを19時に閉めた後上野まですっとんで行って、19時開演の公演の2部だけ観ました。

それに比べれば今回はまだ開催期間外なのでよかったですが、前夜2時過ぎまで準備をしていたので、さすがに何度も睡魔に襲われてしまいました(>_<。

そうなるのはわかっていたことですがそれでも行きたかったのは、勅使河原三郎の新作を東京バレエ団が上演するのを観たかったのと、久しぶりのベジャールの春の祭典を観たかったからです。

もうだいぶ昔になりますが、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館での実習中、たまたま駅でピックアップしたフリーペーパーで勅使河原さんの来英公演がその晩にあることを知り、ランチタイムに電話予約して観に行きました。

イギリス留学中に主に過ごしたリンカンはとても美しい暮らしやすい町ですが、なにぶんロンドンから遠く離れた地方都市のため、アートに関してはなかなか一流のものや旬のものには出会えません。むしろ東京にいた時はイギリス人アーティストのライブにたびたび行っていたのに、留学中に見たのはミッジ・ユーロのアンプラグド・ライブだけでした。それはそれで大変貴重な機会で、チャリティのためとはいえこんな田舎まで来てくれてありがとう!と堪能しました。

実習のためロンドンで暮らしたのは4週間だけで、衣食住の費用がリンカンの倍以上かかるため、当初は舞台を観ようという気にもなれませんでした。しかしその晩、勅使河原三郎の作品を見た時の幸福感は圧倒的なものでした。

何の装置もない暗い舞台で勅使河原さんがひとりで踊っている姿。滑らかに弧を描く腕の動き、自在なコントロール、、、。

砂漠に水がしみ込んでいくように、久しぶりに見る「ほんものの舞台芸術」が心に沁みこんできて、ああ、ほんとうに私はこういうのが好きなんだ、必要なんだと思いました。上演中、心の中でいろいろなことを考えました。ほとんどは踊りとは関係のない来し方行く末のことですが、目の前で超一流のアーティストが舞うのを見ながら、そういうものをとめどなく考えていくのは幸せでした。

それからはバレエだけでなく、それまで苦手だったミュージカルなどいろいろな舞台を観ました。せっかくロンドンにいるのだから、お金のことは考えずにいい経験をしようと思ったのです。その中では初めて見るマシュー・ボーン作品だった「ザ・カーマン」と、本場のロンドンバージョンのキャッツが面白かったです。

舞台は結構チケット代が高いので驚かれることがありますが、たまにこういう経験をしてしまうと、中毒のようにやめられなくなります。そしてこうやって何年先でもそれを思い出して心に栄養を与えられることを思えば、高い買い物でもない気がします。

今回の東京バレエ団公演では、勅使河原さんご自身は踊りませんでしたが、その世界の体現者である佐東利穂子さんが出演していました。数年前のパリオペラ座エトワールのオーレリー・デュポンが勅使河原作品を踊る公演で、完全にオーレリーを食ってしまった佐東さんです。今回も、佐東さんが踊りだ出すと、もう佐東さんから目が離せなくなってしまいます。まさに餅は餅屋です。ベジャール作品をベジャールのカンパニーと東京バレエ団で踊った公演でもそうでしたが、そのスタイルがネイティブになっている人にはどうしたって敵いません。でも東京バレエ団のダンサーたちもとても美しく踊っていたと思います。やはり日本人振付家の作品は、日本人が踊るとしっくりくる部分が多い気がします。

春の祭典は、何度も観ているおなじみの作品なので、さすがに一度もウトウトしないで一気に最後まで突っ走るように見入ってしまいました。

やっぱりこの作品はすごい!そして東京バレエ団の良さも本当によく出る作品です。さっきの話と矛盾しますが、ベジャール作品は意外と日本人が踊るのに合っています。それは今回上演したバランシンのセレナーデと比べてもそう思います。バランシン作品では日本人だから、という良さは当然ながら出ませんが、ベジャール作品、特に春の祭典などの土着性の強い作品は日本人の重心の低い感じがしっくり来るのです。

今回いけにえを踊った伝田陽美さんがすばらしかったです。いけにえの女性は表現力抜群のベテラン女性ダンサーが踊ると迫力がすごいです。いけにえの男性は若いさわやか系のダンサーが踊るとすてきで、近年では梅澤紘貴さんのちょっと弱々しいいけにえが、役の雰囲気に合っていて忘れられない魅力でした。今回の樋口祐輝さんもさわやかイケメン系なので、役に合っていて良かったです。

最近バレエコンクールの受賞などがニュースになりますが、バレエファンの数はそれほど増えていないようです。

美しくはかなげなクラシックバレエももちろんもっと多くの人に見ていただきたいものですが、春の祭典みたいな作品も、案外見て楽しいと思う人も多いのではないのかなと思います。ベジャール作品ではボレロがよく知られていますが、東京バレエ団のレパートリーではギリシャの踊りやバクチなどもバレエ歴が浅い人でも面白いのではと思います。斉藤友佳理さんが芸術監督になってからベジャール作品の国内での上演が激減しています。以前はベジャール作品に惹かれて入団する男性ダンサーも多かったようですし、ベジャール作品目当てで東京バレエ団を見るようになる私のような人も多かったと思います。ベジャール作品の上演を長年許可されているバレエ団は世界でも稀なのですから、もっと大切に継承してほしいなあと思います。

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